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Dr.クマヒゲの教育論

「できない子」ほど、いい看護師になる

 はじめに知っていただきたいのだが、勉強ができるということと、よい看護師になれるということは全く別の話だ。四半世紀にわたって看護学校を経営してきた経験からわかったことだが、試験の成績があまり良くなく、学生時代苦労した生徒に限って、現場での評価が高かったりする。
当校の生徒の中には、偏差値が「高い」「低い」という意味でいったら、「できない子」に属するタイプもいるけれど、ほんとうに看護師になりたいという熱意だけは、皆、人いちばい持っている。
私は、たとえ偏差値が低くても、「看護師になって病気の人の役に立ちたい」と必死に課題に立ち向かう生徒のひたむきさにこそ、心をうたれるのだ。

「できない子」というのは、偏差値一辺倒の学歴社会においては、いわば弱者だ。それゆえ、弱者ならではの挫折感や不安や悩みを知っている。だからこそ、病気に苦しむ患者さんの気持ちを、よりいっそう理解し、思いやることが出来るのではないか。偏差値エリートよりもそうした子の方が、ほんとうの意味での「看護」をしてあげられるのではないか。そう思うのである。

いささか、乱暴な言い方をすれば「できない子」ほどいい看護師になる。これが、私の持論だ。

努力というプロセスを重視

 ところが、他の看護学校の様子を見ていると、残念ながら、偏差値という怪物がやたらと幅を利かせている。厚生労働省までが、高学歴を求めて看護大学の必要性を説くなど、これではますます看護の本質が遠くなってしまう。
その上、現在の若者の就職難も手伝って、全国の看護学校の入学試験の難易度はうなぎのぼりの状態にある。そのため、看護学校へ入ることが一種のステイタスのようになってしまい、ほんとうに看護師になりたいと思っている人が、看護学校へ入れないといったケースも増えてきている。これはゆゆしき問題である。
当校では、偏差値教育の弊害から埋もれてしまいそうな看護師の芽を救い上げ、患者さんに対して思いやりと優しさを持って接し、細やかな「ケアー」を実践する、真の看護師として医療の現場へ送り出すことを使命としている。

そうして考え出されたのが、問題集を前渡しのユニーク入試制度だ。
受験生に、本校が独自に作成した問題集を事前に渡し、その中から受験問題を出すと言う制度。きちんと問題集をやっていれば絶対に合格できるというわけだ。これはテストの点数だけを見るのではなく、目標に向かってしっかりと努力できる人間かどうかを見極める試金石なのだ。こうした姿勢こそが、看護師を目指す上で最も大切になってくると考えるからだ。

問題が先にわかっているのなら全員合格じゃないか。と思われるかもしれないが、現実はそんなに甘くない。問題集の内容は、厳選した良問がそろえられており、この問題集をすり切れるまでやれば、否が応でも基礎的学力や一般常識が身に付くようになっている。高校の進路指導の先生に、この問題集をお見せしたところ、学校の授業で使いたいので分けてもらえないかと言われたことも。

教育はチャンスを与えることこそ大事

 さて、ユニーク入試のもう一つの特徴は、受験科目にある。国語のみを受験科目とするという、看護学校にしてはかなり思い切った受験システムになっている。高校では、医師も看護師も理系の職業だと思われているため、数学を必須から外すことは一見非常識に見えるかもしれない。しかし、実際に医療の現場で働く医師として実感するのは、医師や看護師というのは文系の仕事ではないかということだ。

医療の現場では、ガンの告知問題、臓器移植、脳死、尊厳死、安楽死の問題など、「これぞ正解」という明快な解答はない。生身の人間相手の仕事であるため、そこには理屈では割り切れない感情の問題が必ず入り込んでくる。患者さんの言葉に耳を傾け、心の動きをくみ取れる文系的能力が不可欠だ。
せっかくそういった能力がありながら、数学ができないという理由から看護学校に入れない子たちがいるとしたら、それは社会にとって大きな損失ではないだろうか。本校では、理系・文系を問わず、また男女の別も問わず、真剣に看護師を目指す人すべてに、チャンスを与えたい。なぜなら、教育にとって最も大切なことはチャンスを与えることだと考えるからだ。はじめから無理だといってはねつけるのではなく、チャンスを与え、そのチャンスを活かす努力の大切さを学ばせることの方がその後の人生にとって大切なのではないだろうか。

卒業後も国試合格までお付き合いします

 金沢医療技術専門学校は、平成4年度の第1期卒業生から現在に至るまで卒業生の資格取得率97.1%を維持している。「卒業生の」とあるのは現役合格が出来なかった場合も、合格するまで粘り強く応援し続けるということを意味している。
現役合格ならばそれに超したことはないのだが、残念ながらそうすることができず、1年後のチャンスに全力で挑戦しようという卒業生のために、聴講生制度を設けた。聴講生は学費が免除され、自分の弱点科目を受講出来るほか、自習室の利用、受験情報や相談を受けることができる。国家試験の合格通知を手にするまで、職員が一丸となって責任を持ってサポートする。

「夢はあきらめずに持ち続けている以上、絶対にかなう」というのが当校の信念だ。

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